MindDebugger制作の思い出

5年間の高専生活、最後の5年生の高専祭で作成したのが映像作品「マインドデバッガ」でした。
気合を入れて作成したため、本編だけで40分を越え、CM等々を入れると1時間弱。
高専祭の作品としては、なかなかの大型作品となりました。




ギリギリに動き出したことから、スケジュール的にはかなり無理をしてました。
当時の記憶があるうちに記録しておこうかなと。
撮影と編集を担当していたので、後半は主に編集の話になります。せっかくなので、使用した技術についてもちょっと触れたり。
その辺が知りたい人は、前半を読み飛ばしてください。

本編製作開始まで

高専祭で映像作品を作ることに決定し、夏休みに何度か集まりを持ちました。
班の分担やシナリオの作成、そしてCM担当者は本編より先にCM制作にとりかかりました。


チーム分けとしては

  • シナリオ班(シナリオ作成後は監督)
  • 道具班(必要な小道具の製作・役者が着る衣装の準備・高専祭当日の会場装飾)
  • 撮影・編集班
  • CG班

となりました。


しかし、授業や課題や進路で色々忙しく、
本編のシナリオのプロット版が完成して本格的に動き出したのは10月後半でした。

本編撮影開始

この時点で既に高専祭19日前。3週間を切ってる(((;゜Д゜)))
翌日から、早朝や放課後だけではなく土日も使った撮影が始まりました。


今回は、全編ハイビジョン制作を目標としました。
フルハイビジョンという話もありましたが、後の編集とCGレンダリングを考慮して720pに抑えました。
このため、学校の備品であるSD画質のビデオカメラは使えず、各自の私物を主に用いました。


また、音声の聞き取りやすさを重視し、初めてマイクを用いた撮影を行うことに。
今回は、プラグインパワーの小さなコンデンサマイクを棒の先に取り付け、カメラに直接接続して用いました。
今まで使用してきたビデオカメラ内蔵マイクとは聴きとりやすさが全然違います。

本編撮影・小道具作成

本編の撮影が始まると、各班とも一斉にドタバタし始めました。
撮影場所の確保、役者とのスケジュール調整、機材のやりくり、子道具の作成、台本を詰める作業……
もちろん学生の本業があるので、なかなか時間が確保できず大忙しな日々が続きました。


撮影を始めた後に気づく矛盾や変更点も多く、なかなかスムーズに進行できませんでした。
土日を用いても時間が足りず、結局は高専祭3日前まで撮影することに……


怒涛の編集作業

あれやこれやで押しに押して、まともに編集を開始できたのは木曜日の放課後から。(高専祭は土日)
最初辺りのシーンのカット編集は済ませていたものの、その時点でまだ2割程度。


編集マシン3台と徹夜編集できる人が4人いたので、カット編集とVFXとBGM・SEを分担して作業すると捗りました。
その日からは寝ずに編集を続けたんですが、結局高専祭の1日目には間に合わず、多くの人に迷惑をかけてしまいました。

とりあえず完成

2日目の午前には、どうにか上映できるレベルに仕上げて、上映することが出来ました。
結果的に高専祭では5回しか上映できなかったんですが、計559名もの方が見に来て下さいました。
反応もなかなか好評で、編集した直後で死にかけている状態でしたがとても嬉しかったです。

編集の過程をちょっとだけ

せっかくなので、今回行った編集の一部を画像とともに少し書いてみたり。
本編を見た人なら「あのシーンか」って思いだしてくれれば……

スマペン合成

一番多く用いた基本的なCG合成。
今回は電脳世界でスマートペンギン号が登場するため、電脳世界っぽくみせる色調補正も含む。


初めに編集前の実写映像。撮影した生データ

これに電脳世界エフェクトを適用(それっぽく見えるってことで)

CG班が製作したデータを実写映像に合成して完成


人物が徐々に消えていく

本編中では数回用いた編集技法。クロマキーを使うと綺麗にできる。
けど、それが無理な場面では「人がいるパターン」と「いないパターン」を両方撮影してフェードで切り替えることで代用。
以下に示すのは、人物が下から徐々に消えていくシーン。(クロマキー使用)


まずは背景映像

これも電脳世界のパートなので電脳化

次に合成用の映像を用意(電脳化しておく)

カーテン色でキーイング

背景映像に合成

リニアワイプで人物映像だけを徐々に消す


空中に浮かぶバーチャルモニタ

某悪役が使っていたツールの一つですね。これはAEで作りました。


合成前の映像。中央辺りに浮かべます

合成用のモニタ枠を用意

モニタっぽくするために横線の入った画像を重ねる

写したい動画を合成

元動画に貼り付け

3Dレイヤーにしたあと角度を調整して完成


レーザー

アニメキャラのお面被ったやつが打っていたアレです。これは、そのまんま「レーザー」というエフェクトを使ってます。
開始点を銃口に合わせて、終了点を画面外の適当なところに。そしてキーフレームを指定して時間指定をずらしていくだけ。



映画泥棒のパロディ

本編とは別におまけで作成しました。4年で作ったバージョンよりクオリティが上がったけど、手抜きした部分もあったり。


グラデーションを適用した背景を用意

テキストを合成

合成用の映像を用意

カーテン色でキーイング

大きさを調整しつつ場所を移動

人物の影を追加

スポットライトを追加して動きをつけたら完成


その他

本編中で使っている編集技術で、他にはこんなものがありました。


悪役が空中で操作していたUIとか。
実はこれ、手のフリックに合わせて画面のUIも動くんですが、非常に大変でした。1シーンごとに1時間ほど掛かったような。。


監視カメラ風の画像とか(フォトショ職人の協力)。


手からビーム出したりとか。


こんなやつですね。


本編開始前に挿入されたワーナーロゴのパロディについては、作成したCG担当者がYoutubeにうpしているので貼っておきます。すごいクオリティ


完全版制作

高専祭が終了した後すぐにこの話が出ました。
未編集だった部分を編集して、撮ったけど使っていなかった部分を追加。
また、新たなCGやVFXだけではなく、BGMとSEも追加して、ストーリーを理解しやすくしたのが完全版です。
高専祭前の編集では徹夜続きということもあり、頭が回らない状態や変なテンションのまま仕上げた部分があったので、その修正が主でした。


再編集は3日ほど掛けました。
この再編集によって、作品のクオリティとしてはかなり向上したはず。

2月15日に視聴覚ホールを借りて完全版の上映会。

数字とか

  • 総テイク数:600超(CMを含めると1000くらい)
  • 製作期間:高専祭版→20日間  完全版→+3日間
  • Premiereプロジェクトファイル:19.5MB
  • AfterEffectsプロジェクトファイル:22.8MB
  • レンダリング時間:約9時間(映像のみ、CG除く)
  • 撮影データ・編集データ合計:84GB

40分ちょいの作品の割にはデータ量がかなり多かった。
こんなデカいプロジェクトファイルは初めて見ました。

最後に

本当にいろいろあったけど、作品として完成させることができて良かったです。
PremiereやAfterEffectsでの編集について、これから使う機会があるかは置いといて、コツを掴めた。
ただ、体のことをもう少し考えるのであれば、もっと早く動くべきでした。連続しての徹夜はよくないですね。


今回の高専祭を通して、一番学んだことは「できないことはやらない、スケジュールをしっかり立てる」ということでした。
でも形として、それなりに良いものを作れたので個人的には色んな意味でいい思い出になりました。